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中国政府承認の活仏が亡命か インド入り確認

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2000年1月7日
毎日新聞

チベット仏教カギュ派の最高位の活仏として中国政府が承認していたカルマパ17世(14)が、中国チベット自治区ラサから歩いてヒマラヤ山脈を越え、インド北部ダラムサラに到着したことが7日、明らかになった。ダラムサラにはチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の「チベット亡命政権」があり、チベット仏教への中国当局の介入に反発して政治亡命した可能性がある。

これに対し、中国政府は「宗教儀式で使う楽器の収集に行った」などと説明、亡命説を否定している。

カギュ派はチベット仏教4大宗派のひとつ。カルマパ17世は、インド・シッキムに亡命した同16世の生まれ変わりとして1992年、中国に承認された。中国が初めて活仏を承認したケースとなり、現在はチベット仏教ナンバー3の指導者とされている。

AFP通信などによると、カルマパ17世は昨年末、ラサ近郊の寺院を随行員3人と出発、厳冬期のヒマラヤを越えて5日、ダラムサラに到着した。カルマパ17世は中国政府に対し、「宗教的霊感」を得るためインドへの旅行を求めていたが許可されず、不満を募らせていた、との情報がある。

チベット亡命政権筋によると、カルマパ17世はダラムサラ到着当時、かなり衰弱していたが、ダライ・ラマ14世とも面会し、現在は亡命政権のゲストハウスに身を寄せているという。しかし、亡命の意思について、同筋は毎日新聞に対し「微妙な問題なので今は何も言えない」と述べた。

だが、インド政府がカルマパ17世にすでに難民の地位を与えたとの情報もあり、亡命が確認されれば、印中関係の険悪化は避けられない。ダライ・ラマ14世が59年、中国の「弾圧政策」により亡命したことで両国間に大きな亀裂が生じ、62年の印中紛争勃発の大きな要因にもなった。現在も両国関係は正常化されていない。